成長期のスポーツ障害の中で最も有名なオスグッドシュラッター病。
私も中学生の頃に経験し、膝の痛みに悩まされスポーツを続ける事も難しくなりました。
小学生のスポーツ指導をしている方なら高学年から、中学生のスポーツ指導をしている方なら頻繁に名前を聞くオスグッドシュラッター病。
この記事では、そのオスグッド病の原因と対策について説明します。
小学生年代で多いスポーツ障害
①
膝関節伸展機構障害(オスグッドシュラッター病など)
※難しい言葉ですが、力を入れた時に膝が痛いという事です
②野球肘
③足の捻挫
④踵骨骨端症
※
シーバー病 歩いたり、走った時の踵の痛みです
⑤突き指
⑥腰痛症
やはり、スポーツをする子供たちに最も多いのは
膝のスポーツ障害です。
膝を動かすには体の中で最も強い力を発揮する筋肉の「大腿四頭筋」、「ハムストリングス」が活動します。
その為、ジャンプを繰り返すバレーボールやバスケットボール、軸足で強い踏み込みが必要なサッカーなど、脚を使うスポーツなら
どんなスポーツでも発症する可能性があるのがオスグッドシュラッター病です。
オスグッドシュラッター病とは
オスグット病?オスグッド病?名前の呼び方が難しいですが
正式にはオスグッドシュラッター病(
Osgood-Schlatter disease)、略してオスグッド病と呼ばれるスポーツ障害です。
ジャンプや強い踏み込み動作を繰り返す事で、
膝を伸ばす筋肉(大腿四頭筋)にくり返し強い力が入ります。
大腿四頭筋は膝をのばす、体を支えるのに重要な筋肉
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スポーツの動きの中で繰り返される大腿四頭筋の強い収縮は、子供のまだ発達途中の柔らかい骨を強く引っ張り、骨が剥がれたり(剥離)前え飛び出すなどの障害を引き起こします。
負担がかかり過ぎると飛び出した骨の周囲に
炎症がおこり、力を入れる度に膝に痛みが起きるようになってきます。
【膝を横から見たレントゲン】
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オスグッドシュラッター病になる時期
オスグッドシュラッター病は
10~15歳の成長期に多く発症します、大人になってからこの病気になる事はほとんどありません。
それは、まだ柔らかい骨が伸びる場所(成長軟骨)に繰り返し負荷がかかるからです。
大人になって骨の成長が止まれば、骨は硬くなりオスグット病を発症することがなくなります。
10~15歳にオスグッドシュラッター病が集中しているのは、まだ未発達の柔らかい骨に負担がかかり過ぎることが原因です。
背が伸びる時は筋肉が硬くなる
中学1年生の平均身長は152.5㎝→中学2年生159.8㎝(文部科学省統計 平成20年度)と
1年間で7.3㎝も身長が伸びる事になります。
太ももの骨(大腿骨)も、すねの骨(脛骨)も成長に応じておよそ
2cm程度伸びます。
この急激な身長の増加に大腿四頭筋は、筋肉の節(ふし)の数を増やす事で長さを伸ばしていきます。
しかし、そのスピードが
骨の成長に追いつかないので、筋肉の長さが足りず柔軟性なくなり、成長軟骨への負担が大きくなります。
たかが2cmと思うかもしれませんが、体力測定でよくある体前屈を2cm改善する為には、毎日しっかりストレッチを1カ月ぐらい続けないと、安定して2cmの筋肉の柔軟性を維持するのは難しいです。
この筋肉の硬さが、オスグッド病の重要な原因なので
オスグッド病で整形外科を受診すると必ず
「
オスグッド病の治療に大腿四頭筋の柔軟性が重要、ストレッチをしましょう!」
と言われるのです。
参考文献:Osgood-Schlatter病発症に下肢の骨長増加量が関係する 戸島 美智生 発育発達研究 2011 No. 50
▷引き続き、オスグッドになりやすい動き、治療法などについてみていきましょう
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