剣道の達人から学ぶ 「1vs1の間合いの取り方」

今日も1対1における「間合い」の話です。   サッカーにおいて1対1での相手との間合いは、攻撃側・守備側どちらにも重要な要素です。 「足が速い」「ボールを扱う技術が高い」「体が大きい・小さい」などの個人の特徴によって、また相手によって間合いは異なります。   つまり間合いは状況に応じて常に変化し、「1m」「1m30㎝」のように絶対の答えはないのですが、「間合い」について書かれた興味深い内容を見つけたので紹介します。  

間合いとは

「間合い」という言葉は、剣道や合気道などの武術において、それぞれ確立された概念であり、日本文化を特徴づけるものと言われています。 特に武道の中で「間合い」を剣術の時代から、現在まで重要視してきた剣道。 剣道における間合いの考え方は「1対1練習 お父さんの役割」でも紹介した、高野佐三郎先生が「日本剣道教範」という本の中でこのように述べておられます。 日本剣道教範 引用:日本剣道教範 近代デジタルライブラリー  

『高野佐三郎の間合い論』

間合とは敵と自分との距離を言う。 けれども、更に広く複雑な意味に用いられる事が多い。 お互いに剣を持ち立ち向かい、一歩踏み込めば、すぐに敵を撃突する事ができる位置に迫る時、 お互の間合に接すると言う。   通常間合を、およそ180㎝。これを「一足一刀の間合」という。各人の骨格、 技量、刀の長短等により一定ではない。 115632

【間】

間合を二つに分けて、自分の手元を「間」と呼ぶ、敵の「間」に入った時は勝ったと言っても過言ではない間合い 常にこの間合を保っていれば、容易に攻撃する隙はない。 どんな時でも、敵の弱点をついて攻撃しても、一度、自分の間に入られた時は守備は全く破れ、相手の失敗を願うしかない。  

【心の間合】

構(かまえ)に隙が無ければ到底、敵の間に入り込めない。敵の間に入った時はすでに構を破った時。 間合は、単に距離のみを言う訳ではなく、心と心との間に存在する。 様々な掛け引きを生じ、多様な変化を起す重要なものなので意識して工夫しなければならない。  

【敵より遠く我より近く】

間合はかなり遠く離れていてもよい。 敵よりは遠く、自分よりは近く戦うべきである。 自分の姿勢によっても、間合に遠近が生じる。仰ぐ者(小さい人)は遠くなり、前に屈む者(大きい人)は近い。 敵を見下ろすと見上げるでは大きな違いがある。  

【鍔迫り合い(つばぜり合い)】

115631 打ち込みめば、鍔迫り合いとなる事がある。 その時は素早く離れるべきである。離れ際を大切にして、考えなく退けば敵に負けてしまう。 故に離れ際には必ず敵の隙をついて引くか、敵が技を出した太刀を押さへて引くなど、最大の速さで引くべきである。

【三段の間合】

三段の間合といふ言葉がある。 初心者を相手とする時は間合を近くして、多くの技術を試み練習すべし。これはお互に有益な方法。 同格の者との試合は、一足一刀の間合にで失敗しても顧みず稽古すべし。 また、大事な真剣勝負の場合には間合を遠くし、撃突が届かない位置、または外れて太刀が死ぬ場所。 動き始めの、 引く瞬間を逃さず打ち込むべし。 遠い間合で敵が出れば引き、引けば出て、近寄らぬようにすれば簡単に攻撃される事はない。 敵が手数を多く出し、飛び跳ねてうるさい時は、間合を遠くし切先の届かぬ所でその攻撃しようとした瞬間を打つべし。   以上が高野佐三郎先生の間合い論です。 難しいですよね・・・・・特に「心の間合い」は言葉では伝えられないし、達人であればあるほど感じ方も違うのでしょう。 ※100年前に書かれた言葉を読み砕いています、間違いがあったらご指摘ください 参考文献:柔道における間合いの実態  

サッカーに置き換えると

サッカーに置き換えて考えてみましょう。 サッカーで考えると、剣道の竹刀は自分の足になります。竹刀よりも短くなるので「一足一刀の間合い」は剣道よりも近くなります。 お互いに手を伸ばして、指先が触れるぐらいが通常の間合いになると思います。   体の大きな子は足が長いので「遠い間」で、小さな子は「近い間」で戦う事が有利になります。 相手が自分よりも大きな場合は、遠い間を避けて相手の懐に一気に潜り込むように、相手の間に入る事を狙うとよいでしょう。 自分よりも小さい場合は懐に潜り込まれぬよう遠い間から一気に仕掛けると有利に1vs1を戦えるでしょう。 しかし、間合い論にもあったように間合いは人それぞれなので、何度も1VS1を繰り返し自分の得意な間合いを知る事が重要です。  

元日本代表の本田泰人選手の間合い

元日本代表の本田選手が間合いについてこんな事を話していました。
「間合いのコントロールは重要だと思う。僕がなぜ、相手に嫌がられていたかといえば、普通のディフェンスの選手より、距離が近いから。間合いを詰めて、接近戦を仕掛けるからです」
引用:サカイク – ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト   本田選手は体格は大きくありませんが、スピードのある選手なので接近戦で相手の懐へ飛び込むのが自分の得意な間合いだったのでしょう。   背が高い子も背が低い子もどちらの子の場合でも、狙うべきは相手が何かを仕掛けようとした瞬間です。 その瞬間を相手の動きで読み取る、相手の気の変化で読み取る事ができれば、それが「相手を抜き去る」「ボールを奪う」チャンスです。(難しい!)   間合いの稽古については「初心者を相手とする時は間合を近くして、多くの技術を試み練習すべし」と述べられています。 どこのチームでも見かける、混雑した状況でのドリブル練習は、1対1を多く経験でき、近い間合いの連続で自分の得意な間合いを覚える為にも有効ですね。   少し長くなってしまったので、本日はここまでにしましょう。 言葉で理解してすぐ実践できるものではありませんが、私にとっては非常に興味深く「少しでもサッカーに応用したい」と考えているので、もう少し間合いに関するお話を続けたいと思います。  

参考記事

http://kimamana.sakura.ne.jp/WP/1vs1kisokusei http://kimamana.sakura.ne.jp/WP/utikomigeiko http://kimamana.sakura.ne.jp/WP/9honomaai   この記事を少しでも気に入って頂けたなら、シェアして頂けると力になります。

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