内側側副靱帯損傷の原因と対処 スポーツ復帰までに必要な事

122   今日はスポーツの現場で比較的良く遭遇する「内側側副靭帯損傷」についてのお話です。 軽いものは「膝のねんざ」などと呼ばれる事もある、内側側副靱帯損傷。   怪我をしてすぐに、適切な固定をすれば靭帯は修復し、スポーツへの復帰も比較的早いです。 しかし、無理をして運動するなど適切な対応をとらない場合は、 靭帯が上手く修復されず運度時の膝の安定性を欠き(グラつき)、2次的な障害へと発展する事もあるので注意が必要です。  

内側側副靱帯(Medial-Collateral-Ligament)とは?

その名の通り、膝の内側にある靭帯です。   MCL1   筋肉は関節を動かす為にあるのですが、靭帯は関節を固定・安定させる為にあります。 つまり、内側側副靱帯は膝の内側で、横方向への膝のグラつきを支える役割をしています。   スポーツなどで見られる、急激な方向転換の時に膝を安定させる為に非常に重要です。  

内側側副靱帯損傷とは?

内側側副靭帯損傷は、その程度によりⅠ~Ⅲ度に分類されています。 MCL2

Ⅰ度

小さな損傷で、部分的に傷がついているが膝の安定性は保たれている

Ⅱ度

靭帯は完全に断裂していないが、部分的に切れている(不全断裂)。軽い膝の不安定性が見られる

Ⅲ度

靭帯が完全に断裂している。(骨折を伴うこともあります)   Ⅰ~Ⅱ度の内側側副靱帯損傷は保存療法といって、ギブスや装具を使って固定して靭帯が修復するまで安静にして治療します。 Ⅲ度の損傷になると靭帯を修復する手術を検討します。  

Unhappy triad (不幸の三徴候)

内側側副靱帯だけを怪我した場合は、比較的スポーツへの復帰も早いのですが、怪我がひどい場合はその他の靭帯なども一緒に傷がついてしまう事があります。   特に治りが悪いと言われているのが、内側側副靱帯と一緒に、前十字靭帯・内側半月板を損傷してしまうUnhappy triad (アンハッピー トライアード、不幸の三徴候)です MCL6最近は内視鏡の治療も進んでおり、以前ほどこの言葉を聞かなくなりましたが、それでもこの3つを同時に損傷するとスポーツの復帰には半年~1年以上の期間が必要です。 治療の期間に筋力が低下する事もあり、怪我をする前のパフォーマンスを取り戻す事はかなり難しくなってしまいます。  

どんな時に内側側副靭帯を怪我するのか?

スポーツの現場で内側側副靱帯損傷はどのように起こるのでしょうか? よくある例では、地面に踏ん張っている足の外側から強いタックルを受けて受傷します。 MCL4 それ以外にもスキーの転倒など、膝が内側に無理やり曲げられると内側側副靱帯が切れてしまいます。 MCL5 内側から内側側副靱帯を強く蹴られる事で、受傷するという例もあります。  

怪我をしやすい足の使い方

内側側副靱帯損傷など足の障害を起こしやすい特徴的な足の使い方があります。 「Knee in-Toe out」と呼ばれる動きです。   片足に体重をかけて膝を曲げた時、膝が身体の内側に入り、つま先が外側へ向いてしまう現象です。 Kneeintoeout2 Kneeintoeout この動きになってしまう原因は ●足首が硬い(背屈制限) ●身体を支えるお尻の筋肉が弱い(中臀筋・梨状筋の筋力低下) ●身体を支えるのに足の指に力が入り過ぎている ●足のアーチが崩れている など、Knee in Toe outになる原因は選手によって様々です。 Knee in-Toe outの状態で膝の外側から強いタックルなどを受けると、膝の内側は大きなストレスを受けやすく内側側副靱帯損傷になる可能性が高くなります。   もし、足を踏ん張った時に片足だけ膝が内側に入るようなら、怪我をしていなくてもその足には上記のような問題が隠れているかもしれません。 Knee in-Toe outは内側側副靱帯損傷だけでなく、多くの足の障害の原因になると言われているので、それぞれの原因を見つけて改善する事が非常に重要です。  

内側側副靱帯損傷の治療とリハビリ

内側側副靱帯の治療はⅠ~Ⅱ度は保存療法(ギブス・装具などでの固定)、Ⅲ度は手術という考え方が一般的です。 ただ、内側側副靱帯だけの損傷の場合にはⅢ度でも保存療法を選択する事があります。   Ⅰ~Ⅲ度の靭帯損傷すべてに共通する事は、怪我をした直後から48時間はRICE処置をしっかりする事です。   ①患部を頭より高くして安静 ②しっかり冷やす ③包帯やテーピングで患部を軽く圧迫する   このRICE処置を怪我をした直後にどれだけ守れているかによって治りが変わってきます。 応急対応については以下の記事も参考にしてください。 http://kimamana.sakura.ne.jp/WP/post-397  

競技復帰までの目安の期間

競技復帰までに必要なおよその期間は以下の通りです。 Ⅰ度の損傷2~4週間 Ⅱ度の損傷で6週間 Ⅲ度は3~4カ月 競技ができない期間は、内側側副靭帯を補強する為にも太ももの内側の筋肉(股関節内転筋)のトレーニングをしっかりと行わなくてはいけません。 競技復帰の際には、再発を防止する為にもテーピングやサポーターが必要です。  

競技を再開するためのチェックポイント

●腫れていない、関節を動かして痛みがない、患部を抑えて痛みがない ●まっすぐ走って痛みがない ●ジャンプして痛みがない ●まっすぐ走ってから止まる動作で痛みがない ●方向転換(カット)の動作で痛みがない、ジグザグに早く走れる ●相手の動きに合わせて動いて痛みがない ●ボールを蹴って痛くない   動きにともなう痛みがない事が競技復帰の大きな判断基準になります。 しかし、痛みがなくても靭帯の修復には時間がかかります。 競技に復帰する際には、サポーターやテーピングでしっかり再発予防をして参加するようにしましょう。   https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=eLrNfcrUS0I  

サポーターの種類

テーピングは巻くのが難しく、ランニングコストもかかるので、サポーターがおすすめです。 膝の左右のグラつきを抑えるために、両側が特殊な樹脂などで補強されてるので怪我から復帰する最初は装着するだけでかなり安心感があります。 装着も簡単で子供でもでき、洗濯も可能なので使い勝手は抜群です。    
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ZAMST(ザムスト) ZK-7 膝サポーター ブラック Mサイズ
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サイズの見方は商品によって異なるので公式HPから確認してください。 →Sigmaxダイレクト 膝サポーター     以上、内側側副靱帯損傷についてまとめました。   少年サッカーでも遭遇することのある内側側副靱帯損傷。 Knee in toe outの姿勢を改善する事で、怪我の発生率を下げる事もできますが、すべてを防ぐ事は不可能です。 指導者、保護者が、チームの選手がこのような怪我をした場合に取るべき応急対応。 そして、競技復帰までの期間などを頭に入れて、2次障害を起さないように心がける事が非常に重要だと思います。   1人でも怪我でサッカーができなくなる減らせるよう、心から願っています。  

参考記事

http://kimamana.sakura.ne.jp/WP/kegaonaosu http://kimamana.sakura.ne.jp/WP/whenspike  

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