今日はサッカーに関する面白い論文を見つけたので紹介します。
3対1のロンド(鳥かご)の動きについて、上級者と初心者の違いについて科学的に分析した論文です。
論文の内容は「対称性ホップ分岐理論」という難しい理論を用いて説明された、非常に難しい内容です。
私の頭ではついていけてないですが、結論だけでも「なるほど」と思えるので紹介したいと思います。
サッカーに潜む3者連携の秘密
Three People Can Synchronize as Coupled Oscillators during Sports Activities
この論文は2011年に名古屋大学の横山慶子先生が書かれた論文です。
研究の内容
サッカーでよく行われる3対1の練習(実験では6mのグリッド)。
「大学上級者レベル」「大学中級レベル」「大学からサッカーをはじめた選手」の3つのグループに分け3対1の練習をビデオに収め、選手の位置を記録。
3人の選手で作る三角形の角度の変化を比較しています。
研究の結果
上級者は常に2人の対象者(パスの受け手)との関係を一定に保とうと動いているのに対し、初級者はどちらか1人との関係で動いているという結果が得られました。
つまり、上級者はボールを持つ選手に対して頂点として対照の三角形を保とうという動きをします。
しかし、初級者は1人の動きしか見ていないので三角形の角度が60°よりも大きくなったり、小さくなったり非対称の三角形になってしまうと言う事です。
サッカーのポジショニングでは、バランスを保つ為に「
重心を取る動き」が重要ですが、それが初級者には難しいという事が科学で証明されていますね。
対人関係にも繋がる
筆者の横山先生はこの結果を人間関係にまでつなげて考えています。
1対1の関係では接近と回避が繰り返される。3人になると2人のヒトとの距離を上手く保つ必要があり、その立ち回りは日常生活における対人関係のあり方にも関係する可能性がある。
私もこの意見には
賛成です。
オフ ザ ボールの動きの理解が難しい子は、コミュニケーションが苦手な子が多い印象を以前から持っています。
子供たちにとって「ボール」「敵」「見方」すべてに注意を配り、自分の場所を見つけて動く事はとても難しい課題です。3人で正三角形を作るだけでも難しい子もいます。
「周りの人に気を配りながら、自分の立場をみつけて仕事をする。」
大人になれば当たり前のように求められますが、非常に難しい課題です。
だからこそ、子供たちがサッカーを通じて身につけて欲しいスキルの1つだと思っています。
出典:Three People Can Synchronize as Coupled Oscillators during Sports Activities;Keiko Yokoyama
October 6, 2011/journal.pcbi.1002181 http://journals.plos.org/ploscompbiol/
参考情報:1対1の攻防は6つのパターンで出来ている
参考記事
http://kimamana.sakura.ne.jp/WP/1vs1kisokusei
http://kimamana.sakura.ne.jp/WP/pyonkiti
おすすめの本
イギリスの心理学者リチャードワイズマン博士の著書です。巷にあふれる自己啓発の本、その効果を科学的に検証しています。「褒めて育てる」についても警鐘を鳴らしています。
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